高森町が誕生したのは、昭和32年(1957)7月でした。町制施行60周年の記念すべき時に、『子どもに伝えたい高森町の年中行事』という冊子ができ上がりました。資料館調査委員の皆さんが調べ始めてから4年。年中行事について記された資料に当たり、各地区での聞き取り調査などを経へてまとめられた冊子が、町民をはじめとして多くの皆さんにご覧いただけることになりました。

調査委員会の中で、「高森町の年中行事」を調べ始めたきっかけは、こんな話でした。
「先日、地区のほんやり(どんど焼き)の準備に行って悲しかったことがあったんな。会場にまだ吊されずに残って転がっていたダルマを、幾人かの男の子がサッカーのボール代わりに蹴りだしてなあ、それを大人が誰も注意をせんのな。ダルマを何だと思っとるのかなあ。」この話から年中行事が意味していることを、もっと子どもたちに伝えていかなければということになって、この冊子作りが始まりました。

高森町の家ごとに行われている年中行事について、地区ごとにまとめられた表(資料として巻末に掲載)をもとにして、「行事の意義・いわれ」「高森町で行われている内容」「行事の移つり変わり」というようなことを中心にして記述してみました。もちろん、その行事がいつ行われているかも大切です。明治6年(1873)から使われた新暦(太陽暦)の行事、新暦のひと月遅れの行事やお月見など旧暦(太陰暦)の行事が混在しているのが実情です。特に、月遅れで行われてきたひな祭りや七夕などは、マスコミの影響などにより新暦でも行われることもあり、それが違和感なく受け入れられているようです。
時代によって大きく変わっていく年中行事もありますし、各家でやっている内容やそこで食べられる行事食にも違いが見られます。ですから、この本に書かれていることが高森町の年中行事の決定版とは言えません。この本をきっかけにして、年中行事の大切さに気づいてもらったり、そのあり方や意味を考え合ったりしてもらえば、ありがたいし、「家ではこんなこともやっていますよ」と資料館や調査委員に教えていただければ、うれしい限りです。家ごとに伝えられてきた年中行事には、祈りや願いがこめられています。これからもその心とともに伝えていってほしいと願っています。
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(PDF:40MB)※Wi-Fi環境での閲覧をおすすめいたします。